自殺者の森を抜けるのは困難を極めました。
道ひとつなく、方角も分からない上、木が密集していて見通しが悪いのです。
さらに人の形をした木が横たわっていたり、寝ていたり、倒れていたりで
歩きにくいことこの上ありませんでした。
さらに女性の顔をした鳥の怪物(アルピエというらしいことを後で知った)と、
大きな黒犬に襲い掛かられたりもしましたが平気でした。なんでもありませんでした。
とにかく、落ちてきたんだから高い方へ行けばいいだろうと思い、
より上のほうへ進んでいきました。
どれほど歩いたでしょうか、やっと木の無いところまでやってきました。
森の出口にはひよこがいました。
そのひよこには見覚えがありました。
近所のひろみちゃんが飼っていたひよこです。
去年のクリスマス頃に居なくなったと聞いていましたがこっちにいたんですね。
何度か遊んであげたくらいでしたが、なぜか見てすぐにその子であると分かりました。
一言で言うと「乙女の感」でしょうか。
「久しぶりピヨ、なつみさん。」なんとひよこが喋りました。
驚くと同時に(語尾にピヨかぁ安易なキャラ付けだなぁ)とも思いました。
「喋れるんだねひよこ君。久しぶり。」
(そういえばひろみちゃん可愛がってたわりに名前も付けてなかったなぁ)
とか考えながらもそう呼びかけました。
「なつみさんが第7圏第2環に落ちたと聞いて助けに来たピヨ。
このままでは完全に木になってしまうのも時間の問題ピヨ。」
ふと、手を見るともう左のひじ辺りまでが、木になっていました。
思わず鳥肌が立ちました。
「これは急がないとまずいピヨねぇ。心臓まで木になったら動けなくなるピヨ。」
「ど、どうすればいいの?」私は焦って聞きました。
「森から出たので比較的進行はゆっくりになっているはずピヨ。」
「じゃあ、急いでGi59から出なきゃ!」
「うん、案内するから一緒に来るピヨ。」
私達は急いで次の「環」へと進みました。
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